香典へのお礼として品物を送る慣習を香典返しといいます。三十五日、または四十九日の忌明け後に、挨拶状(お礼状)を添えて出します。品物には、黒白の水引のついたかけ紙をかけ、「志」と表書きをします。
香典はもともと「葬式(葬儀)にかかる費用をみんなで補い、遺族の経済的負担を軽くする」、という助け合いの意味を持つものです。ですから何が何でもお返しをしなくてはならないというわけではありません。
香典返しをしない場合
特に一家の家計を支えていた人がなくなった場合などは、今後経済的にも大変になるはずです。その場合は香典返しの費用を、残された遺族の生活費や子供の教育費に当てたほうが良いでしょう。
また、集められた香典をまとめて福祉施設や社会事業団体、故人にゆかりのある学校に寄付をしたりすることもあります。
このような場合、「どこに寄付いたします」「子供の養育費にあてさせていただきます」といった旨を書いた挨拶状(お礼状)を本来香典返しをするべき人に出しておくようにしましょう。現在でもまだ「香典返しをするのは当たり前」という風潮があるため、トラブルを避ける意味でもこれはおろそかにしないようにします。
香典返しをする時期
香典返しをする時期は各宗教によって違いがあります。かけ紙は、黒白または双銀、黄白の水引の結びきりが印刷されたものを使います。のしは不要です。表書きは薄墨で記入します。
仏式の場合
仏教の場合は三十五日、または四十九日の忌明けに、挨拶状(お礼状)を添えて品物と送ります。表書きは「志」「忌明け」となります。
神式の場合
五十日際の後に香典返しを贈ります。品物の表書きは「志」「偲草(しのびぐさ)」となります。
キリスト教の場合
キリスト教の場合は香典返しを何時するという決まりはありません。ただ一般的には死後一ヶ月目の命日に香典返しをすることが多いようです。表書きは「記念品」となります。
即日返し
忌明けを待たずに香典返しをすることを「即日返し」と言います。即日返しの場合、香典返しは通夜や葬儀の当日に贈ります。その場で手渡しするため香典帳の整理がいらない、配送料がかからない、といった理由から現在ではこのパターンが非常に多くなってきました。
即日返しの場合は、相手の香典額が分からないうちから品物を渡すことになります。よって品物は一律の2,000から3,000円程度の額の品物を式場の出口で列席者に配るようにしています。もし、高額の香典をいただいた場合は、後日改めて別の品物を贈ることもあります。
香典返しの相場金額
香典返しをする場合の品物は、いただいた香典額の1/2から1/3にするのが一般的です。これは香典の額と同じにすると相手の厚意を無にする、ということからきています。ただ一人一人の香典額から計算して香典返しの商品を選ぶわけにはいかないので、普通は3段階くらいの商品を用意し、香典の額に応じてお返しをするというスタイルになります。
香典返しの品物
商品を選ぶ際のポイントは消耗品にする、ということです。これは後々まで残るものは悲しみを引きづると考えられていたことによります。基本的にはタオルやお茶などの生活必需品が主に選ばれています。
最近の傾向としては、カタログを送付し先方に選んでもらう方式が増えているようです。高額の香典をいただいた場合は商品券を送るなども最近増えているようです。
香典返しの挨拶状(お礼状)の書き方
香典返しの挨拶状(お礼状の)の基本構と文例は以下のとおりです。
挨拶状(お礼状)の基本構成
- 時候の挨拶
- 弔問、会葬、香典等へのお礼
- 忌明けの報告
- 香典返し送付の通知
- 末文の挨拶
弔問、会葬、香典等へのお礼
- ご丁重なご弔辞ならびに御供物を賜り、誠にあり難く御礼申し上げます。
- 丁重な御供物を賜りまして、誠にありがとうございました。
忌明けの報告
- 五七日忌の法事(法要)に際し・・・
- 日がたつのは早いもので、やがて七七日忌を迎えます。
- お蔭様で、このほど五七日忌の法要(法事)を相営みました。
香典返し送付の通知
- ご供養に印に心ばかりの品をお送りいたしましたので、お納めくださいますようお願い申し上げます。
- 誠に勝手ながら、皆様のご厚志を○○大学の研究費として寄付させていただきました。