会社都合による退職と失業保険給付

失業保険の給付には、退職理由が重要な要素になってきます。会社都合による退職の場合は2001年4月から施行されている改正雇用保険法で、所定給付日数が優遇される「特定受給資格者」として規定されるようになったからです。


会社都合による退職とは

会社都合による退職とは、大きく分けて以下のようになります。

  • 「倒産や事業の縮小・廃止などによって離職しなければならなくなった場合」
  • 「懲戒解雇以外の解雇や、その他の省令の定める理由で離職しなければならなくなった場合」

上記の事業の縮小は、従業員のうち1ヶ月以内に30人以上が離職するか、1年間に1/3以上が離職した場合をいいます。それ以外にも事業所の移転にともなって往復4時間以上の通勤時間がかかるようになってしまった場合も会社都合の退職とみなされます。 

会社都合の場合の失業保険給付

会社都合で退職した場合、待機期間として給付制限がつくのは7日間だけとなります。これは自己都合の場合が「7日間+3ヶ月」であるのに比べ、かなり有利になります。また、会社都合の場合は公共職業訓練も自己都合の人より受講しやすくなる、というメリットもあります。


会社都合による退職のケース

会社都合による退職といっても様々です。以下に会社都合となる退職の事例を挙げますので、どのような場合会社都合になるのか確認しましょう。

「明日から出社しなくていい」 

日本の法律は簡単に社員を辞めさせることができないようになっています。正当な理由もなく上記のような懲戒解雇の言葉をもらっても、「はい、わかりました」と辞めてはいけません。すぐに辞めさせる場合は「解雇予告手当」といって最低30日分の給料を払わなければならないからです。

また、辞めさせておきながら、退職理由を自己都合にさせたがる会社もあります。これは国から「雇用調整助成金」というものをもらっており、解雇で会社を辞めさせた場合助成金が打ち切られる可能性があるからです。しかも、解雇の場合は就業規定に定められている退職金も通常より多く払わなければならなくなります。これらの事情があるため、会社は自己都合にしたがるのです。

就業条件が採用前の話と違う

いざ採用され勤めだしたら、話が違うということはよくあります。たとえば採用時の仕事ではなく、別の関連の仕事だった、といったケースです。

このような場合、あまりにも著しい相違があれば、就業してから一年以内に離職をした場合に限り、会社都合になることがあります。ただ、このケースはかなり難しく、自己都合にされてしまうことも多々あるようです。

一方、厚生労働省では、賃金に関しては

  • 2ヶ月以上連続して、賃金の1/3以上が支払期日までに支払われなかった場合
  • 残業手当を除いた賃金が、それまでの85%未満になった場合

といった明確な規定を出しています。上記の条件に合致していれば会社都合の退職となります。

業務命令による過剰な残業時間

この残業の基準に関しては、建設などの事業や自動車の運転業務など、適応が除外される職種を除いては労基法で残業の限度が規定されています。

  • 1週間・・・15時間
  • 2週間・・・27時間
  • 4週間・・・43時間
  • 1ヶ月・・・45時間
  • 2ヶ月・・・81時間
  • 3ヶ月・・・120時間
  • 1年間・・・360時間

これを上回る残業が離職前3ヶ月以上続いていれば、退職理由は会社都合になります。ただし、それを退職理由にできるのは、業務命令として会社から命ぜられていた場合です。さらに、これらを証明するためにタイムカードのコピーなどを所得するなどの証拠を取っておくようにしましょう。

明らかな嫌がらせ、リストラのための理不尽な配属命令

この場合は、会社が自分の方から退職するように仕向けているケースです。直接辞めろと言わずに、いられなくするといった悪質なものといえます。

ただし、この場合は会社都合で辞めるのはかなリ難しいといえます。会社都合となるには、会社が職権乱用して職務を遂行するのに無理な状況に追い込んだという証明が必要になります。

とかく会社はあくまでも通常の配転と主張します。配転を理由に退職を余儀なくされそうな場合は、どのようにすればよいかハローワークに相談しましょう。

社内いじめ

現在増えてきているのが、このパターンといえるでしょう。このパターンには

  • 「上司、同僚から故意の排斥または著しい冷遇、もしくは嫌がらせを受けたことによっての退職」
  • 「事業主から直接、もしくは間接的に退職することを勧奨されたことによる退職」

という2パターンがあります。前者の場合は、まず会社は認めません。後者はいわゆる「肩たたき」です。この場合、早期退職制度に応じて割増の退職金を得た場合は「自己都合による退職」になるのでご注意を。

問題は前者です。これに対処するには、退職の数ヶ月前から精神的ストレスを感じていたことを証明しなければなりません。その証明のためには、

  • いじめを受けていることを社内の2人以上より文書で証明してもらうこと
  • そのいじめが原因で仕事を続けることができない、という診断書を医師に書いてもらうこと

が必要です。ただ、社内の人が保身のためにその申し出を断ることもありますので、後者の医師に診断書を書いてもらうという方法が良いでしょう。

セクシャル・ハラスメント 

「お尻を触られたので辞めます」では、ただの自己都合での退職になります。セクシャル・ハラスメントでの退職は立派な会社都合での退職ですが、上記のようなことだと認めてもらえません。会社もそんな事実はない、の一点張りで終わりになってしまいます。ではどの場合が会社都合になるのでしょうか。

セクハラでの退職は、人事担当者や事業主、もしくは雇用均等室などの公的機関に相談し、一定期間(おおむね一ヶ月)が過ぎても状況が改善されないため退職した場合に、初めて会社都合での退職になります。

ただ、いざとなると会社はとぼける可能性がありますので、我慢できないセクシャル・ハラスメントは公的機関に最初から相談するようにしましょう。この場合は、会社もとぼけることはできませんし、真剣に対処しようとします。

しかし、これがかえってハラスメントを増長してしまう場合もあります。特に事業主がハラスメントを行っていた場合です。この場合は逆に解雇まで持っていかれることもあります。そうなった場合は迷いなく弁護士に相談するほうが良い場合もあります。ただ裁判となると、時間も費用もかかりますので、どのように対処するかはじっくり考える必要があります。  


会社都合なのに会社都合とならない退職

現在、多くの会社が積極的に行っているのが「早期退職者優遇制度」。これは会社が人件費削減という会社都合のために「希望退職者」を募っているものです。退職金の上乗せや再就職の斡旋なども行っているので、一見おいしく思えるのですが、これは「会社都合」の退職になるのでしょうか。

答えはNOです。要するに会社が上乗せ提示した退職金に納得して退職したからです。これは立派に「自己都合」になります。結果、給付制限も3ヶ月、給付日数も少なくなります。

それでも、退職金の額や今後の会社の見通しなどを考えると、多額の退職金をもらって早期に退職したほうが特、ということもありますので、しっかりと状況を見極めて判断することが大切です。 


厚生労働省の人材銀行

人材銀行とは厚生労働省が、管理職、専門・技術職の人を対象に求職・求人をサポートする機関です。リストラで再就職先を探している人や、現役で転職先を探している人を対象としてます。

管理職の対象は、総務課長・営業課長といった課長以上の役職を3年以上経験した事務系のサラリーマンとなります。景気の回復に伴い、以前のようなリストラは減っていますが、40歳以上の経験も知識もある即戦力にとって強い見方となっています。

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