意外と知られていないもうひとつの顔
ザ・ビーチ・ボーイズ(The Beach Boys)は、1961年に結成されたアメリカのロックンロールバンドです。 米国西海岸の若者文化をテーマにした軽快な楽曲で知られています。バンド結成時当時流行していたサーフィン&ホットロッドと呼ばれる楽曲群は、単純なコード展開にギターソロを加えたインストゥルメンタルが中心でした。ここにコーラスによるハーモニーをのせたところにビーチボーイズのオリジナリティがありました。
音楽的にいえば前期の明るいポップ・サウンドと、後期の内省的なサイケデリックなサウンドです。また、その境は1966年発表の『ペット・サウンズ』と言えるでしょう。これはまさにビートルズの影響と言えます。イギリスからやってきたビートルズとヒット・チャートを二分するようになり、彼らも芸術性というものに目覚めて言ったのでした。
ビーチ・ボーイズは「カリフォルニア・ガールズ」のイントロで聴くことができる "テルミン" (1920年代にロシア人レフ・セルゲイヴィッチ・テルミン(物理学者、チェロ奏者)が発明した電波楽器で世界初の電子楽器)という変わった楽器を使ったりと、かなり独自性の高いバンドでした。この辺のところが、多くの後継者が出てきたビートルズとは違うところでした。
アーティスト
ヒストリー
多作であったバンド創成期
1962年末にデビューアルバムとなる『サーフィン・サファリ』を発表してから1966年の『ペット・サウンズ』の前まで、彼らは3年間で10枚のアルバムを発表しています。うち、ライブアルバムが一枚、企画アルバムが二枚で、オリジナルアルバムは7枚となりますが、クリスマスアルバム用にもオリジナル曲を用意しています。計算すると、一年にオリジナルアルバムを二枚以上出していたことになります。
実験的音楽『ペット・サウンズ』
ブライアンはビートルズのアルバム『ラバー・ソウル』に衝撃を受け、対抗心を燃やし、当時ポップ・ミュージックとしては珍しい完全なコンセプト・アルバムを作ることを考えました。これが『ペット・サウンズ』です。しかし、このアルバムは当初まったく評価されず、元ビートルズのポール・マッカートニーが好きなアルバムとして挙げるなど、一部には理解者もいたものの、このアルバムの価値が一般に認められるには、その後かなりの時間が必要となりました。
精神の泉の奥深くへ
1971年には、『サーフズ・アップ』がリリースされました。そのタイトル・トラック『サーフズ・アップ』は元々は『スマイル』に収録される曲でしたが、ブライアンの思った通りのボーカルが録音できず、カールが代わってリードボーカルを務めました。このように『スマイル』が頓挫してから以後に発表されたほとんどのアルバムには、分散する形で、『スマイル』収録予定曲の別バージョンが収録されています。
その『スマイル』がなぜ頓挫してしまったかですが、製作時にプレッシャーなどから、メンバーのブライアンがドラッグ中毒が悪化し、もともと精神的に弱かったのも重なって引きこもり状態になってしまったからです。そして、そのことに引きずられるかのようにバンドも一線から退いていきました。また、ブライアンの精神状態も回復することなく完治することもありませんでした。
「ロックの殿堂」入りとバンドの終焉
しかし、1988年、ブライアン以外のメンバーがビーチボーイズ名義で発表した映画『カクテル』の挿入歌『ココモ』がなんと全米ヒットチャート1位を獲得する大ヒットとなります。また、この年グループは「ロックの殿堂」入りも果たしましたし、後には「ボーカルグループの殿堂」(1998年)入りも果たしました。しかし、カール・ウィルソンが肺癌で1998年に死去したのにともない、ビーチボーイズは事実上、完全に終わってしまいます。
「サーフィン、車、女の子」というのがテーマだったビーチ・ボーイズでしたが、実際にサーフィンをしていたのはデニスだけで、他のメンバーはそのバンド・イメージとは裏腹に内向的で内気な少年たちであったというのは、なんとも皮肉なものです。
代表的なアルバム
サーフズ・アップ
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71年発表の本アルバム『サーフズ・アップ』は久々のヒット、全米29位(全英15位)を記録しました。この作品は、前アルバム『サンフラワー』と対照的です。ジャケットのうなだれた騎士の印象通り、全体的には暗い響きのあるサウンドに仕上がっています。
タイトル・トラック「サーフズ・アップ」はカルト・ソングライター、ヴァン・ダイク・パークスとの共作で、元々は『スマイル』に収録される曲であったのですが、ブライアンの思った通りのボーカルが録音できず、本作にて収録されました。ここでは「ロング・プロミスト・ロード」や、「ディズニー・ガール」などの名曲が生まれていますが、この頃はすでにブライアン・ウィルソンは精神的に病んでおり、美しいながらもはかなさを感じさせる1枚となっています。
終わりなき夏 [Endless Summer]
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74年発表のオリジナル・ベストで,サーフィン・ミュージック&サマー・ミュージックの代表であり,アメリカン・ポップスを濃縮したといえるビーチ・ボーイズを知るにはもってこいのアルバム。'60年代中半にビートルズと人気を二分しただけはあります。「サーフィンU.S.A.」、「カリフォルニア・ガールズ」、「グッド・ヴァイヴレーション」といった名曲を収録したビーチ・ボーイズ入門書。
このアルバムは、収録曲からも分かるとおり名盤『ペット・サウンズ』からは一曲も選曲されていません。逆にいえば『ペット・サウンズ』からの選曲がなかったからこそ、このアルバムは売れたと言えます(74年、全米1位)。ひたすら明るく、ビーチ・ボーイズの陽の面だけを集めたこの作品は、ビーチ・ボーイスファンの中でも評価の分かれるアルバムですが、"純粋に音楽を楽しむ"という意味では非常に良いアルバムです。
夏のギラギラした太陽、熱い風、そして潮の香り。誰もがウキウキしてしまう夏、楽しくて決して終わってほしくなかったティーンの頃の夏休み、ビキニの女の子、甘酸っぱい欲望..... このアルバムを聴くと、そんなノスタルジックな世界がもう一度心に蘇ってきます。決して戻ることの出来ないあの"終わりなき夏"を感じさせてくれる1枚です。
ペット・サウンズ [Pet Sounds]
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タイトル通り、ほとんどブライアン・ウィルソン一人で仕上げた哲学的なアルバムです。よくも悪しくも今までにないスタイルの音楽であったため、発表当時は一部のミュージシャンを除き、ほとんど理解されませんでした。とはいっても、最終的には全米10位のヒットになったのですから、それなりには評価を受けていたのかもしれません。
この作品はビートルズの『ラバー・ソウル』に触発されたウィルソンがコンセプト・アルバムとして作ったものです。その当時は衝撃的であったようですが、音楽の多彩さになれてしまっている現代からすれば、意外とそれほど驚きはないかもしれません。
しかし、ほとんどのロックの評論家がこの作品を名盤のベスト10位以内にすると思います。それほどこの作品は奥が深く、じっくりと聴くに値する作品と言えます。日本語の訳詞を見ながらじっくりと聴いてみてください。
タイトルで"奇人の"の書いていると、おどろおどろしい音楽ではないかと思われますが、サウンド的にはふわふわとしたやわらかい春のような雰囲気をもっています。ただ、サーフィン=ビーチ・ボーイスというイメージをもって聴くとかなりはずすと思いますのでご注意を。





