実験的なサウンドと文学的な歌詞
彼らの音楽の特徴としては、まずその実験的なサウンドが挙げられるでしょう。それをより効果的に聞かせるための人間の感情や心理を深く追求した文学的な歌詞。この二つの要素が相まってピンク・フロイドというバンドが構成されています。
また、ピンク・フロイドはライブの面でもストーリー性のある演出をしたり、映像とサウンドの融合をしたりといった実験を行ったことでも有名です。他のバンドがジャズやクラシック音楽をベースにしているのに対し、ピンク・フロイドだけがブルースをベースにしたサウンドにしているのも他のプログレッシブ・ロックのバンドと違う点です。
サウンド的にはエコーを多用して独特の浮遊感や幻想的な雰囲気を作り出し、これがオーディエンスにも受け、セールス的にも大成功を収めています。
アーティスト
ヒストリー
シド・バレットの時代
1967年、シングル「アーノルド・レーン」でレコードデビュー、ファースト・アルバム『夜明けの口笛吹き』をリリースします。翌1968年には、デヴィッド・ギルモア(G・Vo) が加わり、セカンドアルバム『神秘』をリリースするも、バンドのリーダーだったバレットの脱退により1969年には4人編成に戻ります。
シド・バレットからロジャー・ウォーターズへ
1970年代にはいると、『原子心母』、『おせっかい』、『狂気』、『炎~あなたがここにいてほしい』等、プログレッシブ・ロックの名作と言われるアルバムを次々と発表し、黄金時代が訪れます。人によってはシド・バレットのいた時代こそがピンク・フロイドだと言う人もいますが、個人的にはこの70年代こそがピンク・フロイドだと思っています。特に、『狂気』に関しては、ビルボードのアルバムチャートに10年以上(連続591週、トータル740週)もランクインするなど、名実ともに彼らを代表するアルバムとなっています。
映像と音楽の融合
1979年にリリースされたコンセプト・アルバムの大作『ザ・ウォール』は、MTVのビデオ・クリップも有名でしたが、映画化もされています。
解散と再生
メンバー間の不和が原因で、1970年代の末頃からメンバーのソロ活動が多くなります。そして1983年初期ピンク・フロイドのラストアルバムになる『ファイナル・カット』をリリース。バンドは一旦解散状態になります。
しかし、バンドは1987年に、ウォーターズを欠いた編成による新生ピンク・フロイドとしてアルバム『鬱』をリリースします。この新生という扱いに関しては、一旦脱退したウォーターズが、ピンク・フロイドという命名権を争う裁判を起こし敗訴したことが背景にあります。ようするにウォーターズを除いた3人でもピンク・フロイドであるということが認められたと言うことです。これによってロジャー・ウォーターズの時代も終わりを告げました。
デヴィッド・ギルモアの時代
そして、1994年『対/TSUI』をリリース。全米全英ともにチャート1位を獲得したことにより、ピンク・フロイドはデヴィッド・ギルモアの時代となりました。しかし、その後は過去のライブを収録したライブ・アルバムやベスト・アルバム等のリリースのみで、バンドとしては休止状態になっていました。
しかし、2005年7月2日に行われたアフリカ貧困撲滅チャリティーライブイベント「LIVE 8」では、ウォーターズを含めた全盛期のラインナップで突如再結成を果たし、復活ライブを披露し話題となりました。今後もこの黄金メンバーで行くかは未知数ですが、楽しみな復活劇です。
代表的なアルバム
狂気 [The Dark Side of the Moon]
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10年という長い月日に渡って全米ビルボード・チャート100位以内にランク・インしたことで有名なアルバムです。プログレッシブ・バンドが陥りがちな自己満足的な要素を排し、リスナーにも理解されようと努力した結果だと思います。正確な枚数ははっきりしていないようですが、売上枚数に関しては世界一ではないでしょうか(ちなみに公式にはマイケル・ジャクソン
まずはこのタイトル。"狂気"という日本語タイトルは的を得た意訳ですよね。「月(=狂気や狂人の暗喩としてよく使われる)の裏側」は、精神の異常と正常の境目を表しているのでしょう。収められている曲が狂気や老い、死、戦争、金への異常な執着といったものをテーマにしていることからも汲み取れます。
1曲目の「(a)スピーク・トゥ・ミー / (b)生命の息吹き」人間の誕生を現し、ラストの「狂気日食」のおいて終焉を迎える。まさに人間の一生を表現しています。そして、それは常に狂気と紙一重であること。これがこのアルバムを通して表現されています。
終わりが来る存在に対しての悲しみやむなしさといったものを虚空の空に向かって嘆く「虚空のスキャット」。この歌詞のない曲にこそ彼らの本当に訴えたかったこと、表現したかった世界が凝縮されています。
【スキャット】:ジャズ-ボーカルで、「ルルル...」「ダバダバ...」など、意味のない音でメロディーを即興的に歌うこと。
ザ・ウォール [The Wall]
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「ミッドナイト・エクスプレス」のアラン・パーカーによって映画『ザ・ウォール』も作られています。映画の脚本はメンバーの一人であるロジャー・ウォーターズが手掛けたということも当時話題になりました。内容的には
「身勝手な大人たちの中、ロック・アーティストとして成長した主人公ピンクは、ドラックと妄想をさまよいながら、やがて狂気へと取り憑かれていく」
というもので、独特の映像世界とあのピンク・フロイド独特の音世界でちょっと逝っちゃえます。
この頃はステージングにも凝っており、アルバム・ジャケットと同じようにステージ上に高く白いレンガ(←たぶん発砲スチロールで作られていたと思います)が「ザ・ウォール」の曲のときに崩れ落ちるという演出でした。今考えると、ライブを見に来て目の前にレンガが積み上げられて「ザ・ウォール」まで、音楽だけでメンバーを見れないというのもひどい話だと思うのですが、当時は話題になっていました。
アルバム自体はいわゆるコンセプト・アルバムですね。ロジャー・ウォーターズこそがピンク・フロイドだと思う人にとってはかなりいいロック・アルバムと言えます。
炎 [Wish You Were Here]
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日本語アルバム・タイトルが笑える一枚。これは憶測に過ぎませんが、多分このジャケット(英語版の方がそうなっています)の向かって右側の方の背中から炎が出ているところから、そのような日本語のアルバム・タイトルがつけられたのかもしれません。本当、憶測に過ぎないのですが....
このアルバムの中の「クレイジー・ダイアモンド」はシド・バレットに捧げられた曲だといわれていますが、"shine on, crazy diamond!" と歌っていることからも、シド・バレットのことを「美とグロテスク、正常と狂気の紙一重」といった風に表現したかったのかもしれません。
このアルバム自体がシド・バレットに捧げられていると言っても構わないと思います。実際、このアルバム製作中にシド・バレットと名乗る太った変な男(どうも本人らしい)がふらっとやってきて、自分がまだバンドのメンバーであるように振舞っていた、という逸話もあるようです。その天才といわれていた男の変わり果てた姿にメンバーは絶句したといわれています。
このアルバムの聴き所は何といっても「あなたにいてほしい」です。この歌の"あなた"は狂人としての自分であり、そのもう一人の自分に対して"いてほしい"と歌っているのです(ジャケットを見てください。向かいあっているのはもう一人の自分。そして背中の炎は"狂気"のイメージ)。ただこの曲にはもう一つ不思議なことがあります。この曲だけ他の幻想的なサウンドから急にリアリティのあるサウンド(←多分聴いた人にはわかると思うのですが...)に切り替わっているのです。
何故のようにしたのか?
彼らの意図は?
原子心母 [Atom Heart Mother]
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一体このタイトルは何なんでしょう? 「Atom=原子」+「Heart=心」+「Mother=母」=「原子心母」......... そのままやんか!(思わず関西弁で突っ込みを入れてしまいました) なんて安直な日本語タイトルなんでしょう。
でも、まあそれも当たっているかもしれませんね。実際このアルバムは大ヒットした割によく分からないアルバムだからです。難解なようで実は意味のない歌詞、フワフワしたサウンド、ケツを向けて"なんか用?"とでも言ってそうなジャケットの牛(名前:ルルベル3世)....
すべてを否定し無意味にする、というのがコンセプトだったようですが、
だったら出さなきゃいいじゃん!
と思わず突っ込みたくなってしまいます。
とにかく、ピンク・フロイド自体レビューするのが非常に難しいバンドなのです。このアルバムも無意味をテーマにしているので、レビュー自体も無意味です。あしからず.....






