R.E.M. [R.E.M.]

世界最高のロック・バンド

U2とともにオルタナティブ・ロックの代名詞ともいえるR.E.M。あまりにもメジャーなU2に対し、日本では意外とメジャーになれずにいるのはマイケル・スタイプの創る歌詞があまりに難解であるというのが原因ではないでしょうか? さらに英語圏の者には暗喩として理解できることも、私たち日本人には意味的にも感情的にも理解しがたいということも加えて言えると思います。

とは言うものの、世界的に見てみればU2と変わらないほど、もしかしたらU2以上に評価されているR.E.M。それは彼ら(極端に言えばボーカルのマイケル・スタイプ)をリスペクトするミュージシャンたちがまた一流であることからも言えるでしょう(ニルバーナのカート・コパーンやレディオヘッドのトム・ヨークなど)。

サウンド的には、基本的にはネオ・アコースティック路線(←初期はそのままでしたが、メジャー・レーベルと契約した『グリーン』あたりから、かなりエレクロニック・ポップ路線にはなりましたが......)です。このバンドの特徴としては、多少変わったコード進行を随所でいれ、期待を裏切るような(聴いていてあれ? という風に感じるといえば解りやすいと思います)曲作りをするのが特徴といえば特徴だといえるのかな。

とにかく、このバンドのもっとも強い個性といえばやはりボーカルであるマイケル・スタイプの歌詞であり、これこそがR.E.M.と言えるでしょう。

アーティスト

ピーター・バック(ギター)
マイケル・スタイプ(ボーカル)
マイク・ミルズ(ベース・ギター)
ビル・ベリー(ドラム)

ヒストリー

カレッジ・ラジオの雄

1981年、小さなインディペンデントレーベルHib-Toneから発表したシングル"Radio Free Europe"でR.E.Mはその歴史をスタートします。当時、アメリカの大学生を中心とするリスナーたちは独特の音楽文化を持っていました。その中心となったのがカレッジ・ラジオであり、R.E.Mはそこで受け入れられ大きく成長します。R.E.M.のネオ・アコースティックなサウンドと思索的で難解な歌詞が、大学生の知的イマジネーションを刺激したことが直接的な理由でした。

しかし、デビューしてしばらくの間、R.E.M.はアンダー・グランドな存在でした。歌詞が難解すぎて一般的に受け入れらなかったからです。さらに加えてボーカルのマイケル・スタイプが呪文のようにはっきりしない歌い方をしていたのもその原因として挙げられます。ただ、コアなリスナーからはこの当時のR.E.M.の方を評価する人も多かったのも事実です。実際、この頃に作成された「ドキュメント」、「ライフス・リッチ・ページェント」などは非常にクオリティの高い作品であり、斬新なアプローチが随所に盛り込まれた秀作となっています。これらのような作品が作られたのは、商業主義のメジャー・レーベルでないIRSという才能のある若手アーティストに自由な活動をさせてくれるインディ・レーベルに所属していたからでした。

メジャーに魂を売った?

しかし、そんな彼らにも転機が訪れます。メジャーのワーナー・ブラザースが彼らとのレコード契約を申し入れてきたのです。そして発表されたのが、『グリーン』でした。このアルバムは一部のファンにとっては「メジャーに魂を売った」といった評価をされました。しかし、実際にはこの契約により、今までなし得なかったサウンド的なチャレンジや音楽的により進歩することができたのもまた事実でした。

そして、どのような心境の変化があったのかは定かではありませんが、マイケル・スタイプの歌い方がこのアルバムを機に変わったのも新しい変化でした。今までの呪文のような歌い方は陰を潜め、はっきりと発音するようになります。そればかりか、メロディ・ラインも起伏にとんだメロディアスで分かりやすいものになり、これらが昔ながらのファンに嫌われた(変な嫌われ方ですが)理由として挙げられます。

後進へと道を作ったR.E.M.

その後も「モンスター」「オートマチック・フォー・ザ・ピープル」といったヒット・アルバムを創っていった彼らですが、初期からの政治に対する批判や皮肉に満ちた内容の歌詞は相変わらずでした。メジャーになっても社会やオーディエンスに媚を売らないこのような姿勢は、多くの後塵のアーティストたちに多大なる影響を与えるとともに、"アーティステックに音楽を目指したい"ものたちに大きく道を開くこととなりました。

彼らが後のインタビューでも語ったいることですが、このような道を作ることは非常な困難を伴ったようです。が、しかしそのことが彼らを孤高の存在にするとともに、20年以上たった今もメジャー・レーベルに身をおきながらも商業主義から一線を画すことをなしえているのです。そして、それゆえに20年以上たった今でも"世界最高のロック・バンド"とリスナーやアーティストたちに呼ばれる所以になっています。


代表的なアルバム

グリーン [Green]

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メジャー・レーベルであるワーナー・ブラザーズに移籍後第一弾の本作は、ポップでありながらポップでないといった奇妙な雰囲気をもったアルバムに仕上がっています。全体的なつくりとしては今までのR.E.M.と違い、エッジの効いたリズムやわかりやすいメロディ・ラインといったいわゆるメジャー路線的曲作りでありながらも、マンドリンやバイオリンをつかったどマイナーなコード進行のためそのような雰囲気が出ているのです。

彼らがメジャー・レーベルからの第一弾であるにも関わらずレーベルに媚びていないのはシングル・カットされた「オレンジ・クラッシュ」からも読み取れます。ここでいう"オレンジ"とはベトナム戦争で米軍が使用した"Agent Orange(枯葉剤)"のことであり、政治的で社会的なこの曲をあえてシングル・カットに選んでいるからです。

さらに、1曲目の「ポップ・ソング89」では、「天気の話をしようか、それとも政治の話をしようか」といったわざと馬鹿げた並べ方をした歌詞を書いたり、自分自身の内面のエゴとの葛藤を描いた「ワールド・リーダー・プリテンド」といった真面目な曲を書いたり、とメジャーであることなど気にもしないといった感じで自由奔放に曲を並べています。

色んな解釈がある。政党の名前(緑の党)、お金のこと、無邪気さとかナイーブとかいった感覚....

こんな風にこのアルバムのタイトルについて説明するマイケルを見ると、この人たちって本当に強いな、と感心させられます(普通、メジャー第一弾だったら切れないよう無難にいくはずで、この人たちのように煽るようなことはしないものなんですけどね)。

ライフ・リッチ・ペイジェント [Life's Rich Pageant]

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R.E.M.といえば、どうしても『グリーン』や『アウト・オブ・タイム』ということになってしまいがちですが、あえてこのアルバムを名盤のライン・アップに入れたのは訳があります。

このアルバムはメジャー・レーベルになる前のR.E.M.にとって最も良いアルバムであり、シンプルで最もR.E.M.らしさが出たアルバムだからです。一曲一曲はそれほどギミックをつかわず、切なく心にノスタルジーを感じさせるバラードとストレートで純粋にカッコいいアップ・テンポの曲とで聴くものを魅了します。というより純粋にいいアルバムなんです。

そして、何と言っても「フォール・オン・ミー」。この曲のサビに向かう部分を聞いてください。突き上げるように上り詰めていくこのメロディ・ラインは本当にしびれます。この一曲のこの部分だけでもこのアルバムを聞く価値はあると思います。

アウト・オブ・タイム [Out of Time]

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前作『グリーン』に続く第7作目。前作がポップ前回であったのに対し、今回はかなり落ち着いたつくりになっています。前作でもマンドリンやバイオリンはフューチャーされていましたが、今回は全面的に使用され、アルバム全体の雰囲気を形作っています。

このアルバムは1990年のグラミー賞にもノミネートされ、彼ら自身初の全米No1に輝くのですが、その一方バンド自体、とりわけマイケルの疲労感といった感が否めません。このアルバムの評価とは対照的に、バンドのメンバーの一気にビック・バンドになってしまったことに対する葛藤や苦悩が色濃くこのアルバムを覆っています。

ただ、このアルバムにおいてマイケルは今まで以上に詩人の本領を発揮します。内省的な歌詞はより深みを増し、自分自身を見失わないように見つめなおしているかのようです。

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