多汗症の治療と対策

多汗症の治療方法は以下のようなものが代表的です。


精神分析による多汗症治療

精神分析療法は、19世紀に心理学者フロイトによって始められました。この療法の場合は、目に見える汗よりももっと深い心のレベルで汗の原因を考えます。

治療の仕方としては、自由連想法という方法をとります。以下はその手法です。

  1. 週一回のペースで面接をする
  2. 頭に浮かんだ事柄をすべて話す
  3. 話の内容や振る舞いから治療者は分析し患者にフィードバック
  4. 患者はそのフィードバックから過去のコンプレックスを見つめなおす
  5. 見つめなおした結果、汗がどのような意味をもっているか理解する

このように、治療者は患者とフィードバックを繰り返しながら、患者の心の奥に潜む無意識から多汗症の原因を探っていきます。


ロゴセラピーによる多汗症治療

ロゴセラピーとは、思い込みによる自己暗示がもたらす心理作用を多汗症の治療に応用したものです。

多汗症の場合、汗をかいてはいけない、と思うあまり余計に汗をかいてしまう傾向があります。

よって、「いっそどこまで汗が出るか試してやる」といったように開き直ることで、逆に汗が出ないようにしたりします。また開き直ることが逆効果になる人の場合は、「汗をかくことで人間の評価がきまるのか」といった問いかけをすることで、心から納得するようにもっていくなどの治療を行います。


リラックスによる多汗症治療

この治療法は手掌多汗症の人に特に効果がある方法です。

手に汗をかく人は、失敗を恐れて汗をかく場合が多くあります。その失敗を恐れるあまり緊張してさらに汗をかくのです。それならばリラックスをさせてあげ、汗を抑えてあげようというのがこの療法の特徴です。

自律訓練法のマスター

リラックスした状態を作り出すには、自律神経を自分でコントロールできるようにする「自律訓練法」を利用します。この方法は以下のようにして行います。

  • リラックスしやすい服装にする
  • 部屋を静かにし、明るくしすぎないように灯りを落とす
  • 「気持ちが落ち着いている」と思う
  • 「両手両足が冷たい」と思う
  • 「両手両足が温かい」と思う
  • 「心臓が静かに鼓動している」と思う
  • 「呼吸を楽にしている」と思う
  •        
  • 「お腹のあたりが暖かい」と思う
  • 「額がひやりと涼しい」と思う

これらのトレーニングを半年ほど続けていきます。これは汗の治療だけでなく、ストレス解消にもつながるため、多汗症でない人にもお勧めです。

行動療法へのステップ

上記の「自律訓練法」をマスターしたら、今度はそれを応用して多汗症の治療をしていきます。

汗に悩む人は、自分が何を恐れているか解からないために、汗が出てくるのです。よって、その原因を探るために自分がどのような場面で汗をかくのか書き出します。

続いて、その結果を汗をかかない順に並べ替えます。最後になればなるほどより汗をかく場面を書き出すのです。

その書き出した場面を一つずつ想像していきます。もし、その項目を想像しているときに汗を感じたら、上記の「自律訓練法」を行い、心を落ち着けるようにします。その結果少しでも汗が止まるようでしたら訓練の結果が出始めている証拠です。

この方法の場合は時間がかかりますが、根気よく続けた分、精神安定剤などの薬物を使用することも無く、かなりの治療効果を得ることができるようです。


呼吸法による多汗症治療

呼吸法による多汗症治療は、「自律訓練法」に比べて少し簡単にマスターできる方法です。

ゆったりとした深呼吸をすると、脳からアルファ波が出てきます。このアルファ波は心が落ち着いている状態になると出てくる脳波です。このアルファ波になるように脳波をもっていくためにまず呼吸法をマスターします。

この呼吸法をマスターするためには、

  • お腹を引っ込め空気を吐き出す
  • お腹を膨らませ空気を吸い込む
  • そのまま息を止める

という順番で呼吸をしていきます。姿勢はあぐらをかいてやると良いでしょう。呼吸のリズムは吐くときを「2」、吸うときは「1」、その後の息を止めるのは「4」位にします。要するに2秒吐いたら1秒吸い4秒間息を止める、ということです。

慣れてきたら、「2秒-1秒-4秒」というパターンを「4秒-2秒-8秒」というように徐々に伸ばしていき、よりゆったりとした呼吸法にしていくようにします。これだけでもかなり汗が減ってくるようになります。


薬物による多汗症治療

精神性発汗は、心がかく汗です。精神性発汗の人は自分を否定的に追い込んでしまうために、より汗をかいていしまうのです。

このような悪循環を断ち切るために、不安の要素を薬物で取る除く方法もあります。具体的には「精神安定剤」「自律神経中枢調整剤」「睡眠剤」などを処方するようです。

薬を使った場合、汗そのものが減るばかりでなく、汗が減ることで自信にもつながるという効果があるようです。この自信こそは最善の薬であり、それが薬無くとも発汗を抑えられる要因にもなっていくと考えられています。


エンカウンターによる多汗症治療

多汗症の治療法の一つとして、悩みを打ち明けあう、という方法があります。要するに自分と同じ悩みをもつもの同士がその悩みを打ち明けあうことによって、癒しあうことで精神的な治療を行うというものです。

この治療の目的は、自分自身をアピールしたり本音を話したりすることで、他人お気持ちに共感したり、他者を通じて自分を見つめ治すことが目的となっています。


自己啓発による多汗症治療

これは今までの治療法すべてに共通することです。精神的な多汗症の場合は、自分のなかの不安が多汗症の症状として出てきているので、それを自分で乗り越えることができれば精神的な多汗症は克服できるからです。

頭でっかちに考えるのではなく、汗をかく自分をあるがままに受け入れることで、汗をかくことをコンプレックスに感じないこと。これができることで精神的な多汗症は克服できるのです。

要するに、汗をかく手が恥ずかしくてポケットについ手を入れてしまう人は、その手を人前に曝すことで逆にコンプレックスから解放されていく、というわけです。

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます。

【関連する記事】