手掌多汗症

対人恐怖としての手掌多汗症

精神症としての「手掌多汗症」は、精神病理学的に「対人恐怖」として分類されています。

この対人恐怖の発生は、もともと内向的で多感である場合などの神経症になりやすい性格の人が、何らかの要因が重なって精神相互作用という悪循環に陥ることで症状が固定し、神経症になってしまうというものです。例をあげると、緊張して掌に汗をかくことで余計に緊張し、さらに汗をかくようになってしまう場合などが当てはまります。


手掌多汗症の始まり

手掌多汗症を最初に自覚するのは学園祭などのフォークダンスというのはよく言われています。これは普段は手をつなぐことのない異性と手をつなぐ機会であり、この手掌多汗症にかかるような性質の人にとっては非常に緊張する出来事であるからです。

この場合、うれしい反面緊張のあまり掌に汗が吹き出てきます。手掌多汗症でない人の場合でもこのような状況の場合は少しは手が汗ばんできますが、手掌多汗症の人の場合は汗ばんでいることを自覚することでより一層汗が吹き出てきてしまう、という状態になります。

そのような出来事がきっかけではじまった手掌多汗症は、その後も何か緊張する場面に出くわすたびに手が汗でびっしょりになってしまうという現象を引き起こしていきます。さらに、ハンカチが手放せなくなったり、緊張のあまり対人恐怖症になってしまったり、誰かと触れ合うこともできなくなったりといった悪循環へと陥っていくこともあります。


手掌多汗症の汗の出方

必要以上に大量に汗をかくのが多汗症の定義ですが、手掌に限らず汗の出方に関しての状態は様々です。

人によっては汗で手が湿っている人から間断なくしずくが滴り落ちる人まで汗の量や出方は個人差があります。また、その汗のために手が冷たく、あかぎれを併発している人もいるほどです。


社会生活に支障をきたす手掌多汗症

音楽家などの手を使って仕事をする人には、この手掌多汗症は致命的です。なぜなら手掌多汗症による汗のためにギタリストやバイオにストなどは弦がさびてしまったり、ピアニストは鍵盤がすべってしまったりといったことになるようです。

また演奏家でなくとも、パソコンのキーボードなどが汗のために壊れやすくなるといった事も起きており、手掌多汗症であることが社会生活を営む上でも支障をきたしている場合も出ています。

仕事ばかりでなく、掌は人目にふれやすい場所であるため、その症状を持つことに対し、よりストレスが感じられるようになることがこの症状をさらに悪化させている要因となっています。


手掌多汗症のグレードと手術

手掌多汗症にはその進行度のよって3段階のグレードがあり、

  1. 汗で手が湿ってはいるが、肉眼で水滴としては見えない状態
  2. 水滴が肉眼で見え、掌に水溜りができることもある状態
  3. 間断なく手から汗が滴り落ちる状態

と区切られています。グレードの2以上の場合は日常生活に支障をきたすので手術を受けることが勧められています。ただ、グレード1の場合は、日常生活にあまり支障が無いため手術を勧めることは少ないようです。

その理由としては手術した後の代償性発汗はほとんど全員にあるため、グレード1の患者の場合、手術を受けるメリットより代償のほうが大きくなる可能性が高いからと考えられています。

なお、その代償性発汗ですが、掌を手術した場合乳首から上の体部分の発汗が減る一方、そこから下の背中や腹、足などの発汗が増えることになります。

グレード1の場合の治療方法

グレード1の場合は、手術後の副作用が気になります。そのような場合は「イオントフォレーシス」という治療法が薦められています。

この「イオントフォレーシス」は、微弱な電流を流した水道水に多汗部位を20分ほどひたすことによって発汗しにくい体にするという治療法です。週に3回ほど当てることにより、3~4週間後には汗をかかなくなるようです。しかし、中止すると元に戻りますので継続することが必要となります。また、この方法の場合代償性発汗はありませんのでご心配なく。

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